カゼイン中のTemperature sensitive fractionの調製と,その二•三の性質について
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概要
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酸カゼイン中に,16°C〓で急激に白濁し,冷却すると直ちに透明となる成分,すなわち,Temperature sensitive fraction (TSF)が認められたので,,その分離を試み,白濁〓透明の関係,その他,若干の性質について実験を行なつた.新鮮脱脂乳のpH4.6沈澱物を〓別し,水洗,溶解,再沈澱後pH7.7で溶解し,カゼイン試料とした.これを2•アミノ•2•メチル•1•プロパノール(AMP)ークエン酸緩衝液(0.027M-0.0089M, pH8.0〜0.744M-0.255M, pH6.6)を用いた凹型連続式溶出により,1°Cならびに30°CでTEAEセルロース•カラムクロマトグラフィーを行なつた.1°Cの場合は,カラムに吸着されずに通過した量初の区分を,30°Cの場合は,β-,κ-カゼインを主成分とする区分を,それぞれ1°Cで再クロマトグラフィーを行ない,TSFを分離する事が出来た.TSFの調製を目的とし,カゼイン試料40ml(1.5gカゼイン)を,1°CでTEAEセルロースカラム(2.8×15.0cm)から,0.027M AMP-0.0089Mクエン酸緩衝液のみで溶出し,同緩衝液でふたたびクロマトグラフィーを行なつた場合,収量は吸光度(280mμ)によればカゼインの5.1%,10%トリクロル酢酸不溶性窒素によれば4.7%であつた.白濁-透明の可逆性はpH6-10の範囲で観察され,加熱(75°C15分,90°C10分)により失われなかつた.電子顕微鏡像によれば,白濁時は球状粒子がみられた.紫外線吸収スペクトルから算出したチロシン/トリプトファン分子比は2.55であつた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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