鶏の甲状腺におけるコハク酸脱水素酵素およびアルカリ性フォスファターゼ活性度の変化
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概要
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甲状腺機能と酵素活性度との関係を明らかにするため,甲状腺刺激ホルモンを投与した鶏の甲状腺における,コハク酸脱水素酵素およびアルカリ性フォスファターゼの活性度の変化について観察した.実験動物として,60日令の白色レグホーン種の雄鶏12羽を用いた.これらの鶏のうち,10羽を実験例とし,残りの2羽を無処置の対照例とした.実験例の鶏には,1羽当り甲状腺刺激ホルモン(Thytropar, Armour) 2単位を頸部皮下に注射し,注射後10分,30分,1時間,3時間,5時間の各時期にそれぞれ2羽ずつ屠殺した.屠殺後,直ちに甲状腺を採取し,各酵素の組織化学的検索をおこなつた.その結果,各酵素の活性度は一般に小胞間結合組織,被膜および血管壁ではほとんど変化しなかつたが,腺細胞においては著しい変化を示した.コハク酸脱水素酵素の場合,甲状腺刺激ホルモンを注射したものでは,対照例に比べて明らかに活性度の上昇が認められた.すなわち,その活性度は,注射後次第に上昇し,3時間で最高となつたが,5時間目にはわずかに低下した.一方,アルカリ性フォスファターゼは,主として腺細胞の尖端部,特に小胞腔に接する遊離縁において検出された.その活性度は,注射後10分で上昇し,30分後に最高となり,その後は次第に低下し,5時間後には著しく低くなつた.すなわち,甲状腺における酵素活性度は,甲状腺刺激ホルモンの投与により,著しい変化を示したが,このことは,これらの酵素が甲状腺機能と密接な関係をもつていることを示している.
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