放射性無機燐による鶏精子のラベリング
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概要
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1) 鶏精子の放射能は32P注射後4日より14日まで,やや高い値を示し,その後急増して21〜23日後にピークに達し,以後漸減した.2) 32P注射後4〜14日のやや高い精子の放射能は酸溶性分画と燐脂質分画の放射能によるものであり,14日以後の急増および21〜23日後の高い放射能は主としてDNA分画の放射能に起因していた.3) 鶏においては,精母細胞から精子が形成されるまでの最少所要時間は12日,隔日に精液採取を行なう場合に精子が精巣上体ならびに精管を通過するに要する時間は4日と推定された.4) 精漿の放射能は32P注射1時間後には著しく高く,2日までに急減し,その後は緩慢に減少し,血漿の放射能の減少に類似した.これは精漿の主成分が血漿から直接生産されるためと思われた.5) 血球の放射能は32P注射2日後から4〜6日後の間に急増し,その後約1ヵ月高い埴を保持した.6) 1mcの32Pを注射した雄鶏の精子の放射能が最高(DNA分画の放射能が最高)を示す時期の精子の受精能力,およびこれらの精子により受精された卵子のふ化率には異常は認められなかった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文