牛乳の脂肪分解酵素 : II. 測定法の検討と生成遊離脂肪酸の同定
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概要
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牛乳脂肪分解酵素の活性測定において,基質源として均質化乳を用いる方法の検討を行なつた.pHを規正した均質化乳25ml,緩衝液(pH7.0の燐酸緩衝液またはpH8.6のグリシン•苛性ソーダ緩衝液)15mlおよび酵素源10mlを混合し,一定時間37°Cに保持し,生成した遊離脂肪酸を,シリカゲル•クロマト法により抽出滴定した.基質濃度,酵素量,反応時間,添加物の影響を検討した結果,試薬添加実験のある場合を除いては,簡易法として使用し得ることが判明した.ただ,均質化クリームを使用する場合と比べて,基質濃度が低いため,反応時間を5時間とすることが望ましい.また無脂乳固形物の含量が高いため,カルシウム添加が酵素活性に及ぼす影響は低減する.しかし,食塩またはホルマリン添加の影響は,均質化クリーム使用の場合と同様であつた.脱脂乳遠沈(9600G,1時間)沈澱物を透析して得た粗製牛乳脂肪分解酵素は,トリブチリンから,2時間で,窒素1g当たり,pH7.0では98mg, pH8.6では471mgの酪酸を遊離にした.牛乳脂肪分解酵素の作用により,乳脂肪から生成される揮発性脂肪酸としては,酪酸,カプロン酸,カプリル酸およびカプリン酸が,ガス•クロマトグラフ法によつて確認された.
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