緬羊の骨格筋線維の組織化学的分類 : I. 半腱様筋,背最長筋,大腰筋,広背筋,腓腹筋について
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概要
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緬羊の半腱様筋,背最長筋,大腰筋,広背筋,腓腹筋の筋線維を,クリオスタットによる連続切片を用いて組織化学的に分類した.この分類のために,コハク酸脱水素酵素,NADHジアホラーゼ,2種類のATPアーゼ,ホスホリラーゼ,グリコーゲンおよび脂質を調べた.用いた筋肉は,コハク酸脱水素酵素およびNADHジアホラーゼにおけるジホルマザン顆粒の特徴的な分布状態によって区別し得るA型,B型,C型の3種類の筋線維から成っていた.A型筋線維には,大きなジホルマザン顆粒が多く,B型筋線維では,小さい顆粒が少なく,そしてC型筋線維は,ジホルマザンの小さい顆粒と特徴のある星状模様の顆粒を有していた.A型筋線維は,コハク酸脱水素酵素,NADHジアホラーゼ,ミトコンドリヤのATPアーゼ活性が著しく高く,またミオシンATPアーゼとホスホリラーゼ活性も高く,さらにグリコーゲン量も多かった.B型筋線維は,コハク酸脱水素酵素,NADHジアホラーゼ,ミトコンドリヤのATPアーゼ活性が低く,ミオシンATPアーゼとホスホリラーゼ活性が著しく高く,そして中等度もしくは多くのグリコーゲンを有していた.C型筋線維は,非常に高いコハク酸脱水素酵素とNADHジアホラーゼ活性を有するが,ミオシンATPアーゼとホスホリラーゼ活性は低く,そしてミトコンドリヤのATPアー活性も比較的低く,グリコーゲン量は一定しなかった.これら3型の筋線維内には,中性脂肪は認められなかった.C型筋線維は,一般に他の2型の筋線維よりも数は少なかった.半腱様筋では,B型筋線維はA型筋線維よりも多かったが,他の4種類の筋肉では,A型筋線維が多い傾向が見られた.A型筋線維は,一般にB型筋線維およびC型筋線維よりも細かった.2種類の脱水素酵素活性とミトコンドリヤの量から,A型とC型筋線維は,2種類の赤筋線維を示し,一方B型筋線維は白筋線維を示すものと考えられる.