乳腺発育反応の異なるマウス系統の育成 : VI. 乳腺の感受性について
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概要
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これまで,20日令のマウスに総量12.5 I.U.の合成発情物質を2日おきに皮下注射し,35日令に剖検して,乳腺管画積値をしらべ,これを乳腺発育反応と呼び,この反応値について選抜を繰り返し,2群のマウスを得た.ここにいう乳腺発育反応ならびに35日令無処理雌マウスの乳腺管面積が,どれほど乳腺の感受性を示しているかをしらべる目的で,本実験を行なつた.乳腺管面積値に関与する要因として,(1) 刺激者であるホルモンの量,(2)乳腺の感受性,(3)乳腺標本作成乳腺管面積測定の際の誤差を考えた.カスカベ•マウスを用いて,(a)卵巣除去•定量エストロゲン投与マウス,(b)定量エストロゲン投与雌マウス,(c)無処理雌マウスの3群を,同腹内で対応させてつくり,乳腺発育反応値における全変異のうちのエストロゲン刺激要因による部分をしらべると,ほぼ10%であった.35日令無処理雌マウス乳腺管面積値における全変異のうちのそれは,およそ30%であつた.誤差要因部分はほぼ4%であつた.従つて感受性要因部分は,B群で86%,C群で66%と考えられた.以上のことは,未成熟期マウス乳腺実質について選抜するとき,刺激要因と感受性要因の間に遺伝性の差がない場合は,前者より後者に着目し,C群でなく,B群を用いて行うほうがよいことを示唆している.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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