外因系活性化によるニワトリ血栓弾性の変化
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ニワトリの血液凝固能の主体は,外因系機序にあると提唱されている.そこで組織トロンボプラスチン(TP)によって,外因系を活性化したときに起こる凝固過程を,血栓弾性の変化としてトロンブエラストグラフ(TEG)で測定し,その特徴と凝固能測定の可能性について検討して,以下のような結論を得た.TPは種属特異性が強く,同種のものの力価がはるかに高く現われた.TP活性化は検体中に組織液混入の心配を除き,安定したバラツキの少ない数値が得られ,測定時間は短縮され,しかも個体が本来所有している凝固能に近い凝固第II相以下の能力と栓球の機能とを示した.この時,加えるカルシウム量はr以外の値に敏感に影響するから,濃度を厳密に設定する必要があった.また,全血よりも多栓球血漿を検体とするとき作用は強く発現した.以上のことから,ニワトリ血液凝固能のうち止血機能としての凝固は外因系に主体があり,TEGと同種(ニワトリ)TPとを組合わせることによって測定が可能となり,臨床的に応用できることが明らかとなった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文