豚における飼料の質および給与水準が消化管内通過時間に及ぼす影響
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概要
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飼料の質および給与水準が,消化管内通過時間に及ぼす影響について検討し,さらに飼料の消化管内通過時間と消化率との関係について考察した.飼料は栄養価の異なる飼料L(乾物中DCP12%,TDN 82%)と飼料H(同DCP 16%, TDN 90%)の2種類を用い,それぞれ体重の2,3,4および5%の給与水準とした.その結果,飼料LおよびHとも,飼料の給与水準が高まると,飼料の消化管内通過時間は速まり,さらに飼料LとHを同一給与水準で比較すると,飼料LはHよりも明らかに消化管内通過時間の速いことが認められた.なお,メタボリックボデイサイズ当りの乾物排糞量(Y:g/kg0.75)と消化管内平均通過時間(X:時間)との間には,次のような関係式がえられた:Y=48.74•e-0.0376x(r=0.87,P<0.01).各個体ごとに消化管内平均通過時間と,各成分の消化率との相関関係についてみると,飼料Lではいずれの成分とも1%水準で有意な関係を認めたが,飼料Hでは乾物,粗蛋白質,NFEおよびエネルギーにおいて5%水準で有意であったものの,粗脂肪と粗繊維においては有意(P>0.05)な関係が認められなかった.このことは,高栄養飼料に比較し低栄養飼料の方が,飼料の消化管内平均通過時間と各成分の消化率との間に,より密接な関係があることを示している.
- 社団法人 日本畜産学会の論文