煎茶用品種の個体選抜のためのアミノ酸類含有量の簡易検定法
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概要
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煎茶用品種の個体選抜時に茶葉のアミノ酸含有量を簡易に検定する方法として,アミノ酸簡易定量法とろ紙を用いてのニンヒドリン発色法の二つの方法がある。この二つの方法について,前者においては分析に用いる試料の簡易な調製法の検策,後者については除タンニンを行った試料の浸出液を用いて,ろ紙を用いたスポット法を試み,それぞれについて検定精度を調べた。<BR>また,低温貯蔵された生葉によるアミノ酸含有量の測定の可能性についても検討した。その結果次のことが確かめられた。<BR>1 アミノ酸簡易定量法に用いる試料については,生葉混合法および生乾粉末法により調製した試料を用いれば分析の再現性も高く,分析測定値はアミノ酸自動分析法によるアミノ酸合計値との相関も高いことが確かめられた。しかし育成の現場で実際に応用できるのは,貯蔵できるという点から生乾粉末法が現段階では最も適用しやすい方法と考えられた。<BR>2 チャ葉のアミノ酸含有量の簡易検定法として,ろ紙によるニンヒドリン発色法を利用する場合は,生葉および粉末試料の浸出液にポリクラーATを加えて,除タンニンを行ってろ紙上にスポットすれば,茶葉のアミノ酸含有量がかなり正確に評価できることが確かめられた。<BR>3 摘芽を1℃,-40℃に30日と60日間貯蔵した試料を,アミノ酸簡易定量法で分析するにはまだ問題があることがわかった。<BR>終わりに本試験を遂行するに当たり,ご便宜とご指導をいただいた当場製茶部の化学研究室長中川致之博士と有益な助言をいただいた栽培部茶樹第2研究室長安間舜氏に厚くお礼申し上げる。また,分析を担当された酒井静子氏に深謝する。
- 日本茶業技術協会の論文