乳用種雄牛の後代検定の正確度に対する親子関係の誤認の影響
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概要
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乳用種雄牛の後代検定において,標本娘牛の中に,実際は他の種雄牛の娘であるものが混つていた(その割合を誤認率とする)場合の正確度の損失について理論的検討を加えた.誤認の存在をも考慮に入れた後代検定の正確度(当該父牛の種畜価(breeding value)と標本娘牛平均値との相関)を表わす式を導いた.そして,式に含まれる諸種の条件の異なる値の組合わせにおける正確度について数値例を掲げ,誤認による正確度の損失の程度を考察した.誤認がない場合でも,父牛の遺伝的影響以外の原因に基づく標本娘牛同士の表型相関(c2で表わす)の存在は,後代検定の正確度を,c2=0のときよりも低下させる.その上に誤認があると,正確度の損失が付加されるが,一般に,このような誤認による正確度の付加損失は,乳用種雄牛の後代検定において多くの場合に予想される条件,すなわち遺伝率が,0.1〜0.3,標本娘牛数が20〜30,c2が0.2までの範囲では,誤認もなくまたc2=0であるときの正確度を100%とおいて考えると,誤認率10%に対しては平均5%,誤認率20%に対しては平均10%程度である.
- 社団法人 日本畜産学会の論文