乳汁の複合脂質に関する研究 : 4. 牛乳および人乳の各りん脂質の脂肪酸組成
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概要
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1. 牛乳と人乳のりん脂質を珪酸カラムクロマトグラフィーでケファリン,レシチン,スフィンゴミエリンに分画,精製した.精製品については赤外線吸収スペクトルで同定し,薄層クロマトグラフィーでその純度を検定した.2. 各々のりん脂質をMeOH-H2SO4エステル交換法でメチルエステルとし,ガスクロマトグラフィーで脂肪酸を定量した.3. 牛乳ケファリンと人乳ケファリンを比較すると,人乳はC18とCΔ2 18が多く,CΔ1 18が少ない.また牛乳にはC22,C23,C24,CΔ1 24はほとんどないが,人乳には10%以上あつた.4. レシチンについても人乳はC18とCΔ2 18が多く,C16とCΔ1 18が少ない,また人乳にはC20〜C24が約20%あり,牛乳との差が大きかつた.5. 著者らの牛乳スフィンゴミエリンの値はC18,CΔ1 18,CΔ2 18,CΔ3 18がきわめて少なく,C22,C23,C24,CΔ1 24が多く,70%以上あつた.牛乳と人乳を比較すると,人乳はC18,C20,C22,CΔ1 24が多く,C16,C23が少なかつた.特に人乳にC23が少ないのに対し,牛乳にC23が多いのは大きな特徴である.人乳,牛乳ともにC20〜C24の割合は70%以上であつた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文