茶の品種普及の現状と今後の展望「1988茶品種アンケート調査」の取りまとめ
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概要
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1) 茶薗面積の横ばいが続く中で,1979年の調査時に比べて品種化率が大幅に伸び,前回48%であったものが70%となり,優良品種の普及が一段と進んだ(表1,図1,2)。<BR>2) 普及品種の中でやぶきたの占める割合「やぶきた率」が依然として高い。一方,地域・茶種によってはやぶきた以外の品種が増加するきざしがみられ,品種普及率には,それぞれ府県あるいは産地の特徴が認められた。<BR>3) 京都,福岡,愛知の玉露・てん茶産地では,さみどりここうあさひおくみどり等の品種が伸びている。<BR>4)「59寒害」によって耐寒性の強いことが認められたさやまかおりこまかげかなやみどり等の増殖が進んだ(表1)。<BR>5) 防霜施設(防霜ファン,スプリ・ンクラー,被覆等)の普及によって,全国的に早生品種の導入がさらに増える傾向にあり,特に暖地における早生化が一段と進んだ(表1)。<BR>6) 登録後の新品種の評価が定まり本格的普及に移るのに10数年を要していることが明らかにされた。このような問題点が指摘される中で,かなやみどり(1970年登録)さやまかおり(1971年)おくみどり(1974年)の増殖が進んでいる。<BR>7) 新品種の現地における試作成績の集約を早く行うこと,導入にあたって的確な評価や,栽培・製茶の両面にわたる普及指針を早く現場に返すことなど,登録後のアフターケアを充実することの重要性が指摘されている。<BR>8) 現地の要望に応える品種の育成が急務であることと,一方で,それぞれの立地・経営に合った品種の選択と組み合わせの積極的な普及・指導の必要なことが指摘されている。<BR>9) 新種苗法による許諾等の手続きが新品種の普及の制約になっているとの意見があった。<BR>10) 今後普及が見込まれる品種,望ましい品種として,品質に重点を置く意見が多く,香気に特徴ある品種,早生品種,耐霜・耐寒性品種への要望が多い。
- 日本茶業技術協会の論文