鶏に筋胃潰瘍を発症させる魚粉のラットへの給与試験
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概要
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サバやイワシのような赤身の魚を原料としたホールミール魚粉を加熱して鶏に給与すると,短期間のうちに,強度の筋胃潰瘍が発症することが知られている.このような加熱魚粉をラットに給与した場合に,どのような影響があるかを知る目的で試験を行った.約1ヶ月齢のSD系ラットに加熱魚粉(サバのホールミールを130°C,5時間,加熱したもの)を20%配合した試験飼料および対照区として市販のラット飼育用飼料で8ヵ月間飼育した。供試した加熱魚粉は,あらかじめ,プロイラーヒナに与えて,強度の筋胃潰瘍を発症させること,また,著しく増体を低下させることを確認したものを用いた.ラットは,試験開始後1ヵ月毎に体重測定を行い,7ヵ月齢時に1部のラットを屠殺,剖検し,残りは9ヵ月齢時に屠殺し,剖検,内臓諸器官の重量測定,および,数種の臨床血液分析(ヘモグロビン,血清中の総タンパク,尿素態窒素,グルコース,血清GOT活性度,血清GPT活性度)を行った.その結果,いずれの測定項目においても,両区に顕著な差は認められず,鶏に強度の筋胃潰瘍を発症させる加熱魚粉でも,ラットに対しては,特に大きな影響を与えないものと思われた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文