静岡県中遠・小笠地区におけるチャ寄生カンザワハダニの薬剤感受性
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概要
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1991年に静岡県中遠・小笠地区の茶園から採集したカンザワハダニ7〜16個体群の雌成虫または2〜12個体群の卵についてプロフェノボス,ピラクロホス,プロチオホス,BPPS,ポリナクチン複合体・BPMC,ケルセン,ミルベメクチン,フェンピロキシメート,フェンピロキシメート+MEP,ピリダベン,ピリダベン+PAP,ヘキシチアゾクス・DDVP及びテトラジホンの計13薬剤に対する薬剤感受性検定を行い,各薬剤に対する感受性の実態を調べた。<BR>1.プロフェノホス,ピラクロホス及びプロチオホスの3種有機リン剤については,プロフェノホスではほとんどの個体群が実用濃度で死虫率90%以上を示し,殺ダニ活性は比較的安定していた。しかし,他の2剤では50%以上の個体群に感受性の低下が認められた。<BR>2.BPPS,ポリナクチン複合体・BPMC及びケルセンについては,約30%の個体群に感受性の低下が認められた。<BR>3.新規殺ダニ剤であるミルベメクチン,フェンピロキシメート及びピリダベンにっいては,ミルベメクチンは殺卵活性も高く,すべての個体群に対して極めて高い殺ダニ活性を示した。しかし,他の2剤では,散布実績がほとんどないにもかかわらず,大部分の個体群に感受性の低下が認められた。<BR>4.ヘキシチアゾクス・DDVP,テトラジホンについては,約50%の個体群に感受性の低下が認められた。<BR>5.フェンピロキシメートまたはピリダベンに有機リン剤を混用すると協力作用が認められ,殺ダニ活性は増強された。<BR>6.北部山間地の個体群は南部平坦地の個体群に比べて概して薬剤感受性は高かった。<BR>7.同一地域内の近接した圃場の個体群間においても,薬剤感受性に差がみられた。<BR>8.雌成虫の死虫率における薬剤間の相関関係から,ピラクロホスとプロチオホス,フェンピロキシメートとピリダベンにおいて交差抵抗性の可能性が示唆された。
- 日本茶業技術協会の論文