雄雛に対するEstrogen投与の影響
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概要
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筆者は,1954年から56年にかけて,Estrogen投与による雄雛の化学的去勢について試験を行ない,その発育,肉質,肉量,また投与日令や投与量,下垂体ならびに睾丸に及ぼす影響を検討したが,次のような結果を得た.1. 発育については,多数の研究者とほぼ同じ結果を得た.すなわち,1956年の経口投与以外の試験においては,10〜20%の増体率が示され,有意の成績であつた.2. 肉質については,特に筋肉中の脂肪が目立つて増え,その色においても,黄色味を帶びて改良された.ただし肉のしまりが足りなかつた.また肉量については,1954年の短期間処理の場合には有意の成績を得たが,中でも,腹腔内の脂肪層が厚かつた.3. 下垂体の組織像では,外科的去勢の場合のようにはつきりした去勢像は示されなかつたが,投与日令の早いものほど発育がおくれ,特に2〜40日令においては,有意の成績を示して小さかつた.4. 睾丸は,一般に,試験区において発育の抑制を受け,重量が少なかつたが,特に1956年の試験では,一試験区(T1-60)が有意の成績を示した.この傾向は,下垂体の重量とほぼ一致していた.5. 投与量や投与の日令,投与ホルモンの型については,はつきりした結論が得られなかつた.
- 社団法人 日本畜産学会の論文