未成熟マウスの乳腺発育に於ける性的差異 : II Estrogen処理と卵巣移植による乳腺発育
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1 未成熟期マウスの乳腺発育に現われる性差の原因を明らかにする為に,end-bud及び乳管発育の為のestrogen最少有効量(MED),最高発育度及びそれに要する刺戟者の量の性による違いをDESS処理により,又一定量の刺戟者に対する反応をDESS処理と卵巣移植により調べた。DESSとして武田製Euvestinを使つた。2 乳管発育のMEDは,雄,去勢雄,去勢雌共に同様で1回量(以下同じ):0.00195γ性による違いはなく,end-bud出現の為のそれは去勢雌区で0.00195γ,雄及び去勢雄区では0.00390γである。又最高度の発育は各区共0.0625γ以上で得られるが,その発育度は常に去勢雌区が他の区より大きい,この事は同一量のestrogenに対する反応についても同様である。3 卵巣移植後10日の乳腺は,腺管指数の上で,同令正常雄,去勢雄のそれと殆んど同じであるが術後20日では,移植をうけた去勢雄は同令正常雌と同程度の乳腺発育を示す。之に反して,卵巣を持つ雄の乳腺は,正常雄より大きく,正常雌よりは小さい。移植卵巣はいずれの区でもよく生育を続け可成り活動的と見える組織像を示すが,黄体は全く認められなかつた。4 乳腺が何等かの刺戟をうけて発育を始めた後には,感受性の違いが大きく働く事を考えに入れなくてはならない。併し,未成熟期雄マウスで乳腺の発育が起らない大きな原因は,刺戟者の欠除に帰せられるのではなかろうか。
- 社団法人 日本畜産学会の論文
著者
関連論文
- 前車のわだち
- 思いこみは災いを招く
- 泌乳中に排卵しないのはなぜか?
- 泌乳ラットにおける体脂肪除去が吸乳によるプロラクチンおよびコルチコステロン分泌に及ぼす影響
- 未成熟マウスの乳腺発育に於ける性的差異 : II Estrogen処理と卵巣移植による乳腺発育