馬精蟲の抵抗力に關する研究 : (第II報) 馬精蟲の生存に及ぼす温度の影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
馬精蟲の生存に温度が如何に作用するやを知らんとして行つた實験に於て次の如き結果を得た。<BR>(1) 馬精蟲を50℃ 以上の高温に浸漬する場合精蟲の生存能力は著るしく阻害せられ,最高生存限界は54〜56℃ である。温度に對する抵抗性は個體により,又同一個體に於ても採取の都度多少異る。<BR>(2)-5℃ 以下に精蟲を浸漬する場合温度の下降に從い精蟲の生存能力を阻害せられ, 殊に-11℃ 以下に於て顯著にて精蟲の生存最低限界は-17〜-18℃ である。<BR>(3) 精蟲は凍結に對し抵抗力弱く, 凍結完了後10分にして生存率1%以下となり. 20分にして全例死滅する。而してその影響は温度の低下と共に悪化する。<BR>(4) 精蟲生存に及ぼす温度の影響を原精液と馬研處理精液に就き比較するに高温の場合に於ては両者に殆ど差異を認めないが低温の場合後者は前者に比し精蟲の生存に有効に作用する。<BR>(5) 精蟲の長期生存に有効なる温度は2〜4℃にしてこれより高くなるに從い精蟲の生存が短縮され, 45℃1時間似内, 35℃4時間以内, 25℃24時間以内, 15℃26時間以内に死滅する。<BR>(6) 急激なる冷却は,精蟲の生存には有害である。4℃の魔法壜に精液を保存する場合精液瓶をガーゼ及びゴム嚢で包み,これを魔法壜中に浸漬することにより急冷の悪影響を遜けることが出來る。尚この場合も卵黄を含有する馬研法處理精液は原精液に比べ精蟲の生存に對し有効に作用する。
- 社団法人 日本畜産学会の論文