鶏精子の運動性に対する種々の動物新鮮血清の影響
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概要
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数種の家禽および哺乳動物の新鮮血清が鶏精子に対してSpermicidal作用をおよぼすかどうか検討した.血清は鶏(♂•♀),アヒル(♂•♀),七面鳥(♀),緬羊(♀)および家兎(♀)から採取した.各動物の血清はそれぞれ56°Cで30分間加温処理するものと2〜5°Cで保存するものとに分け前者を非働化血清,後者を新鮮血清とした.これらの血清を隣酸緩衝液(Δ=-0.60°C pH=7.0)で0,25,50および75%濃度になるように希釈した後,各希釈血清の0.45mlと鶏射出精液の0.15mlを混合した.ついで37°Cで60分間加温し,経時的にその運動性を観察した.運動性は0〜5までの相対的な値で評価した.鶏雄と雌および七面鳥雌の新鮮血清を25,50または75%含む区における鶏精子の運動性は,培養期間を通じてこれらの動物の非働化血清を25〜75%含む区とほぼ同じ値を示した.またそれらの運動性は培養60分後でも著しく活発であった。アヒル雄,雌,家兎および緬羊の新鮮血清を75%含む区の精子は,培養開始後平均5.8,4.8,4.3および2.5分でそれぞれ運動性を停止した.しかしこれらの動物の非働化血清を75%含む区の精子の運動性は培養60分後でも活発であった.これらのことから鶏精子は哺乳動物新鮮血清のSpermicidal作用に対して感受性を有するものと考えられた.また使用した家禽血清のうち,アヒル雄,雌の新鮮血清のみが鶏精子に対してSpermicidal作用を有するものと推察された.
- 社団法人 日本畜産学会の論文