なぜ在来種を生産するのか : マラウイにおけるメイズの品種選択の実態
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概要
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マラウイでメイズの改良品種の栽培が本格的に始まったのは1990年代前半である。その後政府が改良品種の採用率の向上を目指し投入財配布政策を実施したこともあり, 2006年には改良品種の作付面積は全体の49%を占める程となったが, 依然として51%は在来種が生産されている。そこで本稿では, 作付け品種別に農家の特徴を分析し, なぜ多くの世帯は在来種を生産しているのか, その理由を探ることを目的とした。本稿で明らかになった点は, 在来種を生産している農家には2つのタイプが存在するということである。ひとつは, 資金面の制約のために改良品種を生産するための肥料や種子を購入することができず, やむを得ず在来種を生産している農家である。もうひとつは, 資金面には余裕があり改良品種を生産することも可能だが, あえて在来種を生産している農家である。後者のタイプの農家は, 在来種の方が味や保存の面で優れているという理由から, 販売用にはハイブリッド種を生産しているものの, 自給用としては在来種を生産し続けている。