セイタカシギの二雌トリオ I. トリオ形成の過程
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概要
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1997-2006年にセイタカシギのまれに生じる一夫二妻(二雌トリオ)6例について調査を行った。二雌トリオの成立の要因の一つとして,性比が雌に傾いていることをあげることが出来る。繁殖後,越冬期に雌の若鳥を擁する家族群,家族群とそれに参入した単独雌などからなるグループが形成維持され,それが翌年の繁殖期に繁殖地まで行動を共にして,その後も分解しないことが二雌トリオ形成の背景として重要である。また,非繁殖期の性比が雌過剰な状況のなかで,雌達は,繁殖期を独身雌として過ごすこと,雌雌つがいになることを含め,二雌トリオを1つの選択肢として,選んでいることも考えられる。6組のトリオのうち,1組のトリオは,三羽で営巣ナワバリを防衛していたが,産卵直前に1雌がトリオグループから離脱した。2組のトリオは同時的な2巣を作り,1組のトリオは共同巣を,別の1組のトリオは1年目には共同巣を,翌年に同時的2巣を作った。さらに別の1組のトリオは継時的3巣を作った。