女性の社会参加と性別役割意識:非市場型社会参加における「ケア」の選択
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概要
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本稿は,京都市の女性を対象にしたデータを用いて,女性の非市場型社会活動において性別役割意識がどのように働くのかを明らかにする。分析では性別役割意識の多次元的構成に注目して検討した。分析結果は次のとおりである。まず,性別役割意識は性による役割の振り分けを肯定する「性別分化的役割意識」と他者へのケアを志向する「支援的役割意識」により構成される。二つの性別役割意識は異なった働きをし,性別分化的役割意識はボランティア活動や学習会・研修会活動といった非市場型社会活動を抑制する効果をもつ。一方で,支援的役割意識は,役員活動やボランティア活動といった非市場型の社会活動を促進させる。本稿は,支援的役割意識が非市場型社会活動を活発化させることについて,歴史的に形成されてきた女性のハビトゥスが家庭外の活動において「ケア」領域へ関心を向けさせるからであるという解釈を提示する。
著者
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