太陽光下における水溶液中ジカンバの光触媒分解及びその分解機構
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概要
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除草剤農薬の一種であるジカンバの環境汚染が指摘されている.そこで,本研究では酸化チタン光触媒(TiO2 P-25)による水溶液中ジカンバの光触媒分解を太陽光下で詳細に検討し,触媒量,温度,初期pH,光照射強度及び反応時間の影響を調べた.初期の光触媒分解は擬1次反応速度論に従い,Langmuir-Hinshelwood型反応機構であることが類推された.擬1次反応速度定数kobsは0.173 min−1であった.半減期(t1/2)は約4.0分で,活性化エネルギー(Ea)は10 kJ/molと見積もられた.最終生成物として塩化物イオンが検出され,ジカンバ中の全塩素原子が比較的短い時間(15分間)で塩化物イオンになった.水溶液中の全有機炭素量も減少したため,ほとんどの炭素は無機化されていることが分かった.反応中間体を測定し,フェノール,3-クロロ-6-ヒドロキシ-2-メトキシ安息香酸,3,6-ジヒドロキシ-2-メトキシ安息香酸を同定することができた.反応中間体とフロンティア電子密度計算から反応メカニズムを推測した.太陽光を利用する本法は,簡便かつ安価な処理法と言える.Hg-Xeランプなどは高価なため,後進国など人工光源が入手しにくい地域において,本法は有効な手段になり得ると思われる.
著者
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金子 聡
三重大学大学院工学研究科分子素材工学専攻
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鈴木 透
三重大学環境保全センター
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勝又 英之
三重大学大学院工学研究科分子素材工学専攻
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太田 清久
三重大学大学院工学研究科分子素材工学専攻
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江草 清行
三重大学大学院工学研究科分子素材工学専攻
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河本 結香
三重大学大学院工学研究科分子素材工学専攻
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