新規アディポサイトカインの血管系における作用メカニズム
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概要
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これまで脂肪細胞は単に余分なエネルギーの貯蔵庫としての働きしか知られていなかったが,様々なアディポサイトカイン(adipocyte+cytokine)を分泌することができる内分泌器官として認識されるようになった.近年特に,アディポサイトカインはメタボリックシンドロームと呼ばれる生活習慣病(糖尿病・肥満・高血圧・動脈硬化症・心筋梗塞等)と密接に関係することが明らかとなり注目を集めるようになった.一方,最近ビスファチン,バスピン,オメンチン,ケメリン,ネスファチン等の新規アディポサイトカインが同定され,その役割に関する研究がなされている.しかし,それらの研究の大部分は臨床疫学的研究であり,血管系の病態生理に関する基礎的検討はほとんどなされていない.そこで我々のグループは,上記のアディポサイトカインが,(1)血管炎症性障害および,(2)生理的血管作用(収縮・弛緩機構)に,どの様に関与するかの検討を開始した.これらの結果を含む新規アディポサイトカインの研究成果は,ヒトの生活習慣病コントロールに関係する創薬や治療法開発の重要な標的となると考えており,またその焦点として心血管系における生理的および病態生理的役割の解明が重要である.