ムチン硫酸化の二つの役割
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概要
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近年、遺伝子ターゲッティングマウスを用いた研究により、硫酸化糖鎖の様々な生理機能が明らかになってきた。二つの硫酸基転移酵素N-アセチルグルコサミン6-O-スルホトランスフェラーゼ(GlcNAc6ST)-1およびGlcNAc6ST-2を欠損する遺伝子ターゲッティングマウスを用いた解析により、それらの硫酸基転移酵素がリンパ節の高内皮細静脈(HEV)に発現するムチン様糖タンパク質の硫酸化を介してリンパ球ホーミングおよび免疫監視において必須の機能を発揮することが示されている。さらに最近のGlcNAc6ST-2欠損マウスを用いた研究により、GlcNAc6ST-2がマウスにおいてリンパ節HEVのみではなく大腸上皮細胞にも発現し、大腸ムチンの硫酸化を介して実験的大腸炎に対する防御機能を果たすことが示されている。本稿では、リンパ節および大腸におけるムチンあるいはムチン様糖タンパク質の硫酸化の二つの生理的意義について論じる。