中国,渤海湾におけるズグロカモメの越冬記録
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概要
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ズグロカモメ Larus saundersi は東アジアの沿岸にのみ生息しているが,個体数が急激に減少しておりバードライフ・インターナショナルによって危急種に指定されている。渤海湾周辺では旅鳥,夏鳥であり冬はほとんどいないとされていた。世界の個体の多くは江蘇の塩城と韓国や日本の九州の数カ所で越冬すると考えられてきた。ここでは2005-2006年の冬にズグロカモメのかなりの数が渤海湾で越冬したことを報告する。2005年12月23日に天津の塘沽と大1147の間の井区干潟で864羽のズグロカモメがカウントされた。2006年2月19日には同所で941羽をカウントした。別の研究者によって2005年12月24日と2006年2月15日に莢州湾でもそれぞれ522羽,569羽がカウントされている。1羽の成鳥は足環によって遼寧の繁殖コロニー,双台子河口から来たことがわかった。このコロニー由来の鳥が中国で観察されたのは3度目と考えられる。このコロニー由来の鳥はこれまではほとんどが韓国か日本で記録されていた。この2か所で1,386-1,510羽が越冬したと考えられるが,これは世界中の個体数(9,600羽と推定されている)の 14.44-15.73% にあたる。これまでズグロカモメが渤海湾で越冬した記録はわずかであったが,今回の発見によって渤海湾がこの種にとって重要であることがわかった。
著者
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劉 陽
Ministry of Education Key Laboratory for Biodiversity Sciences and Ecological Engineering, College o
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ホルト ポール
New Laund Farm, Greenhead Lane
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張 正旺
Ministry of Education Key Laboratory for Biodiversity Sciences and Ecological Engineering, College o
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張 正旺
Ministry of Education Key Laboratory for Biodiversity Sciences and Ecological Engineering, College of Life Sciences, Beijing Normal University
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劉 陽
Ministry of Education Key Laboratory for Biodiversity Sciences and Ecological Engineering, College of Life Sciences, Beijing Normal University