カモの採餌中にみられる行動の時間配分:餌場と水場間の距離の影響
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概要
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ある種のカモは採餌のときに食物と水を交互に摂取する。餌場と水場との距離を変えたときにこの行動の切換え頻度と食物摂取時間,水摂取時間がどのように変化するかについて,飼育下のシロガオリュウキュウガモを材料に観察した。食物摂取と水摂取の総時間については距離の影響はなかったが,切換え頻度は距離が大きくなると減少し,1回あたりの食物摂取時間,水摂取時間がともに長くなった。距離の増加に伴う最適パッチ滞在時間の変化を予測する簡単な数理モデルから得られた期待値と比較すると,水摂取時間の増加分は期待値と同じ程度だったが,食物摂取時間は期待値よりも長くなった。また,羽づくろい行動の頻度も距離が大きくなると増加した。羽づくろいは葛藤状態にあるカモの転移行動であると考えると,餌場と水場との距離が増加したときに1回あたりの食物摂取時間が増加したのは,最適パッチ滞在時間が増加したためだけではなく,採餌場所確保のための競争が生じたことも要因として考えられた。
- 財団法人 山階鳥類研究所の論文
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