電気生理学的誘発が困難なリエントリー性持続性単形性心室頻拍例におけるピルジカイニドの有用性
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概要
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電気生理学的検査(EPS)による誘発が困難な心室頻拍(VT)に対して,Naチャネル遮断薬の静脈内投与がVTの誘発性を高めることが知られているが,報告例は少ない.われわれは,持続性単形性VTの既往があるにもかかわらずEPS時に無投薬,もしくはイソプロテレノール(ISP)を投与したにもかかわらずVTが誘発されなかった4例において,リエントリー性VTを疑いISP持続静脈投与下でピルジカイニド20mgを静注した後にEPSを行ったところ,再現性をもってVTを誘発することに成功した.4例ともVT発生の機序はリエントリーで,うち2例はベラパミル感受性左室起源特発性VTである.全例でピルジカイニド投与後のEPSで持続性VTが誘発され,アブレーションの至適部位の決定に有用であった.EPSで誘発困難なリエントリー性持続性単形性VTにおいては,ISPに加えて少量のNaチャネル遮断薬を投与するとVTの誘発性を高め,アブレーション至適部位の決定に役立つと考えられた.