戦後日本の親子・親族関係の持続と変化 : —全国家族調査(NFRJ-S01)を用いた計量分析による双系化説の検討—
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概要
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本稿の目的は,親子関係の出生コーホート間比較を行うことにより,戦後行われてきた二つの双系化仮説—仮説1「直系家族制の解体により,長男との同居パターンが消失すると同時に,親子間の援助における長男と他の子との差異,息子と娘との差異がなくなる」と仮説2「直系家族制の解体により,同居における長男優先のパターンが消失するとともに,抑制されていた娘や妻方親類との援助がより活発に行われるようになる」—を検証し,戦後の親子・親族関係の基本構造と変化のトレンドを明らかにすることである。「戦後日本の家族の歩み」調査(NFRJ-S01)のデータを用いて分析を行ったところ,夫方同居率の低下がみられるものの,長男同居のパターンの存続とともに,妻方援助の存在と顕在化の傾向があることが確認された。今日においても直系家族制と双系的な親類関係が共存していることは,仮説1の反証であるとともに仮説2の修正を要請するものである。