フランスの親保育所にみられる連帯とは何か : ——今後の日本との事例比較研究にむけて——
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概要
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フランスでは育児支援のひとつとして,親保育所という親たちによる自主運営の保育施設があるが,今まであまり紹介されることがなかった。近年,日本でも仕事と家庭の両立支援といった側面だけではなく,地域再生や関係性の再構築といった視点から共同保育所の役割が認識され,「社会連帯」という言葉が使用されつつあるが,連帯の性質を問うことはあまりない。そこで,本稿では,日本の共同保育に類似したフランスの親保育所の内容を整理し,半構造化面接法によるインタビュー調査の結果から連帯の内容を検討した。その結果として,親と職員の間には親密性に深くよらない協働の連帯が示唆された。一方で,日本の共同保育所では,育児支援の不足によって実用的価値がますます高くなったケアの交換を通した融け合う連帯という性質が示唆されるだろう。したがって,今後,フランスの親保育所における親同士の連帯の内容を比較検討することが課題である。
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