ドルードル課題を用いた再認と再生の記憶高進
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概要
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本研究では,イメージ仮説(Erdelyi & Becker,1974; Erdelyi & Stein,1981)と代理検索回路(ARP)仮説(Kazén & Solís-Macías,1999)に基づき,再認の記憶高進が生起するか否かを検討した.本研究では実験を4つ行い,1実験につき12人の被験者に参加してもらった.実験1と3ではラベルありドルードル,実験2と4ではラベルなしドルードル刺激を覚えてもらい,その後,実験1と2では再認テスト,実験3と4では再生テストを3回繰り返し実施した.両仮説が予測したとおり,実験1では再認記憶高進が生起することが確認され,実験2では生起しなかった.実験3でも,両仮説の予測どおりに再生記憶高進が生起した.イメージ仮説は実験4において再生記憶高進は生起すると予測したが,ARP仮説は生起しないと予測した.結果,実験4では再生記憶高進は生起せず,イメージ仮説よりARP仮説が支持された.結論として,天井効果の心配のない状況で有意味な絵画刺激を用いれば,再認の記憶高進は再現性の高い現象であると思われる.また本研究の結果は,ARP仮説を支持するものであった.
- 日本認知心理学会の論文