新しい埋め込み型Vascular accessの開発
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概要
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Vascular accessの問題は血液透析療法にとっては古くて新しい問題でもある.糖尿病に伴う腎不全患者の増加は患者の高齢化と動脈硬化の増加をも招き益々困難な症例が増加してきた.1980年頃より米国Renal Systemsによりvascular access deviceとして開発され提供されたHemasiteは皮膚穿刺なき透析としてわが国にも1983年頃より輸入され使用されるようになった.1984年より2005年までわれわれも総計約43例のHemasite埋め込み症例を経験した.これら症例にみられたさまざまな合併症や問題発生原因の解明を行った結果,その主な原因はshunt(分岐)された血液量が過大になり易くHemasiteに流入する過大なshunt血流が静脈壁と動脈壁に大きな影響を及ぼし,さらに大きな心負荷となりさまざまな症状を起こしていることがわかった.Hemasiteに血流を制御する部分を組み込むことにより種々の合併症を防ぐとともにHemasiteの持つ優れたシリコンゴム隔壁による止血弁機能を保持しつつ1回の埋め込み手術で長期間使用可能な新しいHemasite型vascular accessを開発することは透析医療に大きく貢献できるものと考え計画・設計・試作を行った.