当帰芍薬散によるマウス心臓移植片の生着延長効果と免疫制御細胞の誘導
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概要
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組織適合抗原完全不一致マウスの心臓移植モデルを用いて,当帰芍薬散の同種異系臓器移植免疫に関する効果を検討した。C57BL/6マウスの心臓を無処置のCBAレシピエントの腹部に移植すると,移植片は生存中間値(MST)7日で拒絶された。当帰芍薬散を2g/kg/dayで移植後8日間連日投与すると,MSTは60日に延長した。混合白血球培養試験でアロ増殖反応性の低下と,その上清のインターフェロン‐γの産生低下がみられた。さらに,心臓移植後当帰芍薬散を投与したCBAレシピエントの脾細胞を,第二のCBAレシピエントに静脈投与し心臓移植するとMSTは100日に延長した。このことから,免疫制御細胞が誘導されたことが判明した。そして,当帰芍薬散投与により,CD4陽性細胞中のCD25陽性,FOXP3陽性細胞と,CD25陽性細胞中のFOXP3細胞が増加した。当帰芍薬散は,心臓移植片の拒絶反応を抑制し,かつ免疫制御細胞を誘導した。