存在脅威管理理論の足跡と展望―文化内差・文化間差を組み込んだ包括的な理論化に向けて―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
人間の社会的行動は,自尊心への欲求から説明されることが多かった。しかしながら,その自尊心への欲求自体が,“なぜ”人間にとって重要なのかは実証的に検討されてこなかった。この“なぜ自尊心の欲求が重要なのか”という問に存在脅威(死の不可避性の認識に基づく脅威)の緩衝という観点から答え,人間の社会的行動を包括的に説明する枠組みたるべくして登場したのが存在脅威管理理論である。本稿では,まず存在脅威管理理論の概要について紹介する。次に,既存の研究を概観し,存在脅威管理理論がもたらした成果と,個々の社会的行動の実証的検討における課題について述べる。最後に,近年報告されている存在脅威管理方略の差異に関する知見を紹介し,そのような文化内・文化間差を存在脅威管理理論がいかに捉え,組み込んでいくべきかについて展望を述べる。
著者
関連論文
- 存在論的恐怖が自己卑下的帰属および他者からの支援的帰属の期待に及ぼす影響の検討
- 自尊心の高低・不安定性の2側面と達成動機の関連
- 自尊心の高低と不安定性が被援助志向性・援助要請に及ぼす影響
- 存在脅威管理理論の足跡と展望―文化内差・文化間差を組み込んだ包括的な理論化に向けて―
- 国際シンポジウム報告(国際学会シンポジウム開催報告)
- 大学適応感を予測する新入生研修の継時的評価
- 大学適応感を予測する新入生研修の継時的評価