「ボランティア」と「NPO」の社会的構成プロセスに関する新聞記事分析研究― 「助詞分析」の試み―
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概要
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日本社会における「ボランティア」と「NPO」の普及・興隆という現象を,社会的現実の生成と変容のプロセスとみなし,社会的表象論に依拠してその機制を検討した。各々の語を含む新聞記事の量の経年的変化を検討したところ,いずれの語も記事量を増大させていた。さらに,各々の語について,助詞を付して用いられる比率を算出する「助詞分析」を試みた。ボランティアは,阪神大震災以前には高かった主語としての用法の比率を,震災後には相対的に低下させていた。一方,NPOでは,主語としての使用比率は一貫して高かった。このことから,NPOは,生成の渦中にあるものの,社会的現実としては未だ単調であり,生活世界にとって疎遠であることが示唆された。それに対しボランティアは,震災を契機にその多層性を確立し,豊かな意味をもつ社会的現実として,生活世界の細部へと浸透しつつある。このことは記事内容に関する分析によっても支持された。2つの社会的現実について今後の変容可能性を展望するとともに,新聞記事を活用した分析技法について,社会的表象論に基づく展開の方向性を考察した。
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