ZrO2–Al2O3–FeOx触媒を用いた水蒸気雰囲気下におけるリグニン構成物質関連芳香族化合物の酸化分解
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
酸化鉄複合触媒(ZrO2–Al2O3–FeOx触媒)を用いて,植物バイオマス由来芳香族を有用芳香族へ転換するためにその触媒活性について検討した。リグニン構成物質関連芳香族化合物として,2環芳香族化合物(ジフェニルエーテル,ジフェニルメタン,2-ベンジルオキシフェノール),および単環芳香族化合物(グアヤコール,アセトフェノン,1-フェニル-1-プロパノール)を原料にZrO2–Al2O3–FeOx触媒を用いて接触分解を行った。反応実験は常圧の固定床流通式反応器を用いて行い,反応温度773 Kとした。2環芳香族化合物を原料とした実験では,ジフェニルエーテルやジフェニルメタンは分解されず,2-ベンジルオキシフェノールは熱分解の後,ZrO2–Al2O3–FeOx触媒上での反応によりトルエンとフェノールが生成した。単環芳香族化合物を原料とした実験では,グアヤコールとアセトフェノンからフェノール(54 C-mol%)とベンゼン(29 C-mol%)がそれぞれ選択的に生成した。その際,メトキシ基とカルボニル基の酸化分解により主にCO2が生成したが,1-フェニル-1-プロパノールでは,主に脂肪族水酸基の脱水反応が起こり,1-フェニル-1-プロペンが生成した。したがって,本触媒は,芳香環どうしのアルキルエーテル結合,および芳香環に結合するメトキシ基とカルボニル基の分解に有効であることが分かった。
著者
-
吉川 琢也
北海道大学大学院工学研究科有機プロセス工学専攻化学システム工学研究室
-
Na-Ranong Duangkamol
北海道大学大学院工学研究科有機プロセス工学専攻化学システム工学研究室
-
Tago Teruoki
北海道大学大学院工学研究科有機プロセス工学専攻化学システム工学研究室
-
Masuda Takao
Div. of Chemical System Engineering, Graduate School of Engineering, Hokkaido University
関連論文
- ZrO2–Al2O3–FeOx触媒を用いた水蒸気雰囲気下におけるリグニン構成物質関連芳香族化合物の酸化分解
- ZrO_2-Al_2O_3-FeO_x触媒を用いた水蒸気雰囲気下におけるリグニン構成物質関連芳香族化合物の酸化分解
- A ROOT-FORM PEP CARBOXYLASE OF Zea mays : CHARACTERIZATION OF THE RECOMBINANT ENZYME
- リグニンからのフェノール類回収プロセスの開発