要求・アーキテクチャ領域
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概要
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我々の社会生活で利用する各種サービスの多くは情報システムで支えられている。近年、情報システムの適用範囲は更に拡大し、またそのサービスを支えるソフトウェアやハードウェアも高度化と複雑化が進んだ。サービスを提供する情報システムの発注者は、より便利で理解しやすいものを安定的にユーザ(カスタマーズカスタマー)に提供したいと願う一方、情報システムの受注者(開発者)は、信頼性の高い情報システムを、より安く、より早く提供すべく努力を続けている。そこには、情報システムの障害を防ぎたいという両者共通の願いが横たわっている。 要求・アーキテクチャ領域では、情報システムを構築する際の、要件定義から外部設計を行う上流の工程における、発注者と受注者の間でのより適切な合意形成を実現するための研究を進めている。目的は、上流工程で起こる発注者と受注者間の認識の齟齬を、機能要件と非機能要件の両側面から防ぎ、品質の低下・コストの増大・納期の遅延の発生等を抑制することで、情報システムの信頼性を高め、ユーザに価値を提供することにある。 研究のポイントは2つある。システム開発の工程の順から述べると、1つ目は、「非機能要件とアーキテクチャWG」として、要件定義の非機能要件に係る合意形成に焦点を当て、これまであいまいなものとして手が付けられずにいた非機能要件の定義を明確にし、受発注者双方にとって理解しやすい記述に基づいた合意形成を可能とすることを目指している。2つ目は、「機能要件の合意形成技法WG」として、機能要件に基づく外部設計工程の合意形成に焦点を当て、これまで様々なプロジェクトの現場で凝らしてきた記述やレビュー、情報共有のための工夫(コツ)を収集・分類・分析した上で提供し、広く普及を図ることで、受発注者間でよりスムーズに、手戻りの無い合意形成を可能とすることを目指している。
- 独立行政法人 情報処理推進機構 ソフトウェア・エンジニアリング・センターの論文