本邦における微小菌類の地理的分布と温暖化の影響
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概要
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腐生性の微小菌類の広域的な分布に地球温暖化が及ぼす影響について考察した.菌類の地理的分布の研究は微生物であることに加え菌類独特の障害によって大形生物に比べて大きく立ち遅れている.この状態を打破するための調査およびデータ解析法を提案した.その方法によりマツ落葉生息菌種の本邦のマツ林における地理的分布を調査し,年平均気温との関係を解析した結果,大形の動植物と同様,最適温度域を持ち正規分布あるいは釣鐘型の曲線で表せる分布パターンを示した.すなわち,温暖化の進行により最適温度域が北上するのに伴い菌類も北上することが分かった.この移動により生じると推定される生物群集の混乱についても考察した.