アフラトキシンB1の生体内運命
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概要
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ラットを用いたアフラトキシンB1(AFB1)の生体内挙動に関する研究によって,AFB1の主な吸収部位が小腸であること,とくに十二指腸から効率よく吸収され,腸間膜静脈へ移行することが明らかにされた.移行中にアフラトキシコール(AFL)に変換されるが,これは血球による代謝を反映したものであった.各種動物の肝臓ミクロゾームのAFB1-DNA結合活性(AFB1-エポキシド生成活性)を比較検討した結果,この活性は,AFB1の毒性に対する感受性の動物種差との間に一定の関係をもたなかった.肝臓サイトゾールのアルデヒドリダクターゼ活性の動物種差も,AFB1毒性に対する動物種差とは対応していなかった.しかし,肝臓サイトゾールのグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)活性が強いほど,AFB1毒性に対する感受性が低いという関係が認められたことから,このGST活性の相違がAFB1毒性に対する動物種差を招来することが示唆された.