分離集落の特徴を利用したレジオネラ属菌分別法の有用性
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概要
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レジオネラ属菌の培養検査を行う場合,検査対象試料によっては,さまざまな雑菌が混在しているため,酸,熱による前処理や選択分離培地の使用が必要となる.しかしながら,これら前処理や選択分離培地を使用しても,それら雑菌の発育を抑制できない場合が往々にしてある.多くのレジオネラ属菌検査マニュアルには,「レジオネラ属菌分離集落の特徴として,大小不同の灰白色湿潤集落で特有の淡い酸臭がある」と記載されているが,実際の検査においては,このような集落が多数存在し,雑菌との分別が困難な場合が多い.そこで本研究では,より正確で簡便な集落観察方法を検討したので報告する. 分離培地上の発育集落に斜光を当て,実体顕微鏡で観察すると,レジオネラ属菌は,特徴的な外観構造(カットグラス様,モザイク様)を呈した.この観察法を用いると,レジオネラ属菌と雑菌を効率良く分別,釣菌することができ,菌数測定も簡便に,極めて正確に行えることが明らかとなった. 本研究では,環境試料からL. pneumophilaの13血清群およびその他17種類のレジオネラ属菌が,この観察法で効率良く検出された.また,レジオネラ肺炎の患者から最も高率に検出されているL. pneumophila血清群1においても,この特徴が観察されたことから,本観察法は,定期的な環境水の自主検査および感染源や汚染源を調査するにあたり有効な検査法の一つであると思われた.