超高齢透析患者で冠動脈造影を施行し,冠動脈CTではmild lesionにみえた99%狭窄病変に対しTRIを施行しえた1例
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概要
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平成18年9月より当院においても冠動脈評価の可能な,64列MDCT(multidetector computed tomography)Brilliance®(Phillips社)を導入した.当院では約200人の透析患者が平素フォローされており,虚血性心疾患のリスクの高い方に対し積極的に冠動脈MDCT血管造影(以下冠動脈CT)を施行している.その中で,不安定狭心症を疑わせる胸部症状を殆ど認めないものの,冠動脈CT上,右冠動脈にmildに狭窄の疑いのある90歳代の超高齢な女性で,徒歩にて日帰りで右橈骨動脈経由による冠動脈造影目的に来院された方が,実際に冠動脈造影を施行したところ,冠動脈近位部seg1に99%狭窄あり,CTの情報以上にsevereな病変を認めた.このため,引き続き同右橈骨動脈経由で経皮的冠動脈形成術(percutaneous coronary intervention;PCI)を施行した.橈骨動脈経由によるPCIはいわゆるTRI(transradial intervention)と心血管インターベンショナリストの間では呼ばれており,手技としては経大腿動脈経由経皮的冠動脈形成術(transfemoral intervention;TFI)より高度であるものの,出血などの侵襲がより少なく,安全性が高い.本症例は年齢91歳と超高齢者でかつ慢性透析患者であることよりPCIを施行するにもかなりリスクが高い症例であること,胸痛は軽度で安定しており症状からは高度狭窄病変があることを疑えなかったこと,冠動脈CTでも冠動脈造影ほどの高度の狭窄を予想し得なかったという偶然的要素のある状況で,右冠動脈近位部の超高度狭窄病変に対し超高齢者に忍容しうると思われるTRIにて成功し得た1例であったので,その過程を若干の文献的考察を加え報告する.
著者
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