近代日本の地図作製と東アジア―外邦図研究の展望―
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概要
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第二次世界大戦終結まで,日本がアジア太平洋地域で作製した地図を「外邦図」と呼んでいる.外邦図の多くは,旧日本軍が作製し,その性格からこれまで利用が限られてきたが,近年は景観・環境の長期的変化を考える上で重要な資料と考えられるようになってきた.ただしその利用にあたっては,東アジアの近代史を意識しつつ,作製過程や仕様,精度などを解明する作業が不可欠である.そこで本稿では,ここ数年間関係者の協力を得て研究を進めてきた成果を紹介する.外邦図の多様性に始まり,外国での秘密測量,台湾や朝鮮など旧植民地での地籍測量に伴う地形図作製,外国製図の複製や空中写真測量の発展など外邦図に関連する主要なトピックついて触れ,あわせて東アジア地域への技術移転にも言及する.