Angiotensin IIは糸球体内PDGFの発現を調節している
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概要
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Angiotensin II (AII) が,メサンジウム細胞増殖因子であるPDGFの発現を調節しているか? さらに糸球体内PDGFの発現とメサンジウム基質の増生,糸球体硬化との関連について調べた。亜腎摘ラット作製後,Angiotensin II receptor antagonist (AIIRA) 投与群,Reserpine,Hydralazine,Hydrochlorothiazide (三者) 投与群,無治療群に分け,腎摘後1週目と4週目に屠殺し,組織学的検討とNorthern blottingによるPDGFmRNAの発現の検討を行った。無治療群では,正常ラットに比較して糸球体硬化と糸球体PDGFの染色の程度は有意に増加した。一方AIIRA投与群では,糸球体硬化と糸球体PDGF染色の程度は正常ラットと同程度に抑制された。しかしながら三者投与群では,血症はAIIRA投与群と同程度にコントロールされたが,糸球体PDGF染色の程度は増加した。PDGF mRNAの発現は,無治療群,三者投与群で増加し,AIIRA投与群で抑制された。以上のことより,AIIは糸球体内PDGFの発現を蛋白レベルでもmRNAレベルでも調節していた。また連続切片による同一糸球体内での硬化の程度とPDGF免疫染色の程度を比較してみると,糸球体硬化の初期病変とPDGFの発現は強い相関を示した。
- The Japanese Society for Pediatric Nephrologyの論文