聴力検診における高齢者の聴力の実態 : —金沢市聴力検診事業より (2000年〜2005年)—
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概要
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金沢市耳鼻咽喉科医会では行政からの委託で2000年から聴力検診事業を行っている. この聴力検診事業は, 65歳から74歳を対象とした隔年検診であり, 今回は2000年から2005年までの検診受診者延べ15,589人 (複数回受診者は3,247人) の聴力検査結果を検討した. 結果に関してはおおむね過去の報告と大きな相違はなかった. 聴力レベルでは35dB以上の難聴と診断された割合は全体の16.4%で, そのうちの約8割は35dBから50dBの難聴であった. 聴力障害の原因としては加齢によるものがやはり多く (約80%), 次いで慢性中耳炎 (5〜8%), 耳管狭窄症および滲出性中耳炎 (3〜8%) であった. このうち治療の対象となったものは6〜7%であった. 主に老人性難聴によると思われる高音障害型の難聴は65〜66歳では40.0%, 73〜74歳では66.8%に見られた. 複数回受診者3,247人の聴力変化を検討したところ (平均6年間の観察期間), 高音障害型の聴力を呈する受診者における2.1%に, また高音障害型の聴力を呈しない受診者においては10.5%に会話域での15dB以上の聴力レベルの低下を認めた. 補聴器装用を勧奨した受診者を追跡したところ, 装用対象者の70%以上が装用に消極的であった事実は, 今後の補聴器普及や聴力検診事業の最終的な目的を考えると, 補聴器メーカーとともに何らかの方策をとる必要性を痛感した. 行政, 地域医師会に聴覚の重要性の理解を得て, 聴力検診事業を今後とも継続したいと考えているが, 地域だけの努力には限界があると考えられる.
- 社団法人 日本耳鼻咽喉科学会の論文
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