緩和ケア領域におけるMohsペーストの有用性―出血のコントロールの観点から
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概要
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緩和ケア領域で経験する頭頸部がんや各種がんの皮膚転移, 非切除乳がんなどの体表部悪性腫瘍の出血に対しては, 有用な方法がなく止血に難渋していた. 今回われわれは, 中咽頭がん再発病巣から出血を繰り返し, 1日に5回前後の包交を必要としていた患者に対して, Mohsペーストを使用することにより著明な止血効果と滲出液やにおいの軽減が認められた症例を経験したので報告する. Mohsペーストは, 安価な材料を用いて院内調製が可能であり, その作用機序は主成分の塩化亜鉛が潰瘍面の水分によりイオン化し, 亜鉛イオンのタンパク凝集作用によって腫瘍細胞や腫瘍血管, および二次感染した細菌の細胞膜が硬化することによる. 本症例においてMohsペーストは, 予後の限られた患者が出血や滲出液, においに悩まされることなくQOLを維持するために効果的であった. 今後, 製剤の安定性や使用方法が確立され, 本法が普及することが期待される. Palliat Care Res 2009; 4(2): 346-350
著者
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山崎 章郎
聖ヨハネ会桜町病院聖ヨハネホスピス
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大井 裕子
聖ヨハネ会桜町病院聖ヨハネホスピス
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小穴 正博
聖ヨハネ会桜町病院 聖ヨハネホスピス
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林 裕家
聖ヨハネ会桜町病院 聖ヨハネホスピス
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相河 明憲
聖ヨハネ会桜町病院 聖ヨハネホスピス
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山崎 章郎
ケアタウン小平クリニック
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石巻 静代
ケアタウン小平クリニック
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鈴木 道明
ケアタウン小平クリニック
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近藤 百合子
聖ヨハネ会桜町病院 聖ヨハネホスピス
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山本 美和
聖ヨハネホスピスケア研究所
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石巻 静代
聖ヨハネ会桜町病院聖ヨハネホスピス
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近藤 百合子
聖ヨハネ会桜町病院聖ヨハネホスピス
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大井 裕子
聖ヨハネ会桜町病院 聖ヨハネホスピス
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