戦後日本における階層帰属意識のダイナミクス
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
階層帰属意識は、日本の社会階層研究において、とりわけ理論的に探求されることの多かった主題である。その代表的な事例として、ファラロ=高坂モデルを指摘することができるだろう。しかし、ファラロ=高坂モデルはある一時点での階層帰属意識分布を問題にしており、構造変動にともなって、それがどのように変化するのかといったことは議論していない。そこで本稿では、この欠を補うべく、階層帰属意識分布の変化の背後にあるメカニズムを理論的に明らかにすることを試みた。その結果、“親の職業的地位を継承している個人は、自身の職業的地位が指示する階層的地位により強くコミットしている”ことを仮定することで、いっけんすると対応関係を欠いていたかのように観察された“職業構造の変動と階層帰属意識の変化”の関係を合理的に説明できることが明らかにされた。そして同時に、そのようなメカニズムの存在を、SSM調査データによって実証的に確認できることも明らかにした。
- 数理社会学会の論文
著者
関連論文
- TASCフォーラム よい判断による悪い結果について
- 信頼はどこからやってくるのか (特集 信頼研究の最前線)
- 現実から乖離する社会意識
- 他者性が露わになるとき--国際スポーツ大会における誤審問題
- イギリス社会学とギデンズ (現代社会学の最前線(1)二〇世紀社会学の知を問う) -- (知の世界地平--グローバライズする社会学(1))
- 戦後日本における階層帰属意識のダイナミクス
- 筒井淳也著『親密性の社会学 : 縮小する家族のゆくえ』
- 富永,健一[著]『理論社会学の可能性-客観主義から主観主義まで-』
- 日本における数理社会学の展開
- ジェフェリー・G.ウィリアムソン著(安場保吉・水原正亨訳)『不平等,貧困と歴史』
- 『自由の社会理論』書評論文リプライ
- 階層意識に現れる性 : 権力
- 社会階層による社会認識の歪み : 公平感と階層帰属意識を中心に
- 書評 数土直紀著『理解できない他者と理解されない自己--寛容の社会理論』〔含 書評に応えて〕
- 最小限の合意の可能性 (200号記念特集・21世紀への社会学的想像力:新しい共同性と公共性)
- 男性の階層帰属意織に対する社会的地位の複合的な効果
- 権力と利他主義 : 権力構造を産む行為の進化ゲーム的分析(行為と構造)
- 書評 政治学的な制度論とは--河野勝著『制度』東大出版会、2002年
- "みえているもの"はみえない
- 未婚者の階層意識:結婚は地位達成なのか?
- Special Section : Evolutionary Game Theoretical Approarch for Order Problem