日本におけるGAP実施の実態と今後の問題点―栃木県における実態調査の分析―
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
日本におけるGAP実施の実態と今後の問題点を解明するため,GAP先進県の1つである栃木県内の4農協とその生産部会に所属する農業者を対象に,JGAP規準に基づく自己評価と外部審査によるGAPの実態調査を行った.その結果, GAP実施の水準は,農業者は「比較的良い」レベルであるのに対し,農協事務局は「問題あり」のレベルであることが明らかになった.その原因としては,農協事務局には,農場管理システムの知識が充分になかったことと,農協自体がGAP実践の主体者であるという認識が無かった点が示唆された.また,農協によって事務局の農場管理システムが質的に異なっており,質が高いほど農業者のGAPレベルが高いことが判った.さらに,農業者のGAPレベルが高いグループほど,個人のGAPについての認識も高いことが判った.農業者のGAPレベルを上げ,地域農業としてのGAPの精度を上げるためには,GAP規範(GAPの意味と内容)を正しく理解し,事務局の農場管理システムの質を向上させることと,農場管理システムの中で農業者に対するGAPのトレーニングを行うことが必要であることが指摘された.