高齢者の動脈血管硬化指数(Arterial Stiffness Index)高値例の臨床的検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
外来通院の高齢者の動脈硬化性疾患390名を対象として,動脈血管硬化指数(Arterial Stiffness Index: ASI)を約4年間観察し,ASI値と年齢との関係,ASI値区分毎の患者数の分布,ASI高値群と低値群での死亡率,男女比,基礎疾患,頸動脈内中膜厚,血小板凝集値,血液検査値(Hb,TP,Alb,TC,TG,HDL,BUN,Cr,HbA1C,CRP)を比較した。ASIと年齢はr = 0.31(p < 0.001)で弱いながら正の相関が得られ,ASI値の患者数分布はASI値70以下,71〜140,141以上はそれぞれ約30%であった。ASI値の高低と死亡率の関係は認められなかった。ASI 211以上群と210以下群では,死亡率はそれぞれ9.5%,3.4%で,ASI値281以上群と70以下群では12.5%,2.6%であったが,共にその差は有意差ではなく,また年齢,性別は死亡率に交絡作用を示さなかった。ASI高値群(211以上)と低値群(70以下)の基礎疾患の比較では,前者で糖尿病と慢性腎臓病が有意に多く含まれていた。臨床データの比較では,BUN,Cr,HbA1C,mIMT, 血小板凝集値が高値群で有意(p < 0.01〜p < 0.001)に高く,Hb, HDLが有意(p < 0.01〜p < 0.001)に低かった。ASIは高齢者において死亡率とは関連がみられなかったが,ASI高値群では慢性腎臓病と糖尿病が有意に高頻度で,血栓・動脈硬化増悪因子が有意に高値であった。
- 杏林医学会の論文
著者
関連論文
- 高齢者の動脈血管硬化指数(Arterial Stiffness Index)高値例の臨床的検討
- 深部静脈血栓症を合併し, 血液凝固・線溶マーカーの異常高値が長期間持続した維持血液透析患者の一例
- 新規血栓溶解剤(Fu-PA)の冠動脈内血栓溶解効果 : 第58回日本循環器学会学術集会
- 動脈硬化性疾患の高齢患者における動脈血管硬化指数(Arterial Stiffness Index)と頚動脈硬化病変, Fibrinogen, 血清脂質との関連
- 血栓性疾患における低用量アスピリン治療時の便潜血反応の検討
- 高齢者の血栓性疾患における血漿D-dimerと凝固,線溶,脂質因子及び大動脈硬化病変との関連