試論「Gompertzian modelを用いたHCV動態の解析」の検証
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概要
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目的 HCVの増殖がGompertzian modelに従い,インターフェロン(IFN)を投与したときのウイルスの崩壊がexponential decayを示す時,HCVの減少曲線は,lnH(t)=lnGmax-(D0/k)+(D0/k)exp(-kt)と表せることを筆者は提唱した.ここで,lnH(t)は減少するウイルス量を対数表示したもの,lnGmaxは開始時のウイルス量,D0はIFN開始時の初期減少率,kは減少率の減衰係数,tは時間である. 本稿では,この数式に実際の臨床データをあてはめて検証することを目的とした. 方法 C型慢性肝炎の患者にベータIFNを2週間投与し,治療前,1/2週後,1週後,2週後のウイルス量を TaqMan法を用いて測定した. 結果 治療前,1/2週後,1週後から計算された2週後の値より,実測値の方がウイルス量が少なかった.HCVの増殖が,古典的なGompertzian modelではなく,Gomp-Ex model(ある閾値まではexponential growthを示し,閾値以上に増えたときにGompertzian modelに従う)に基づくと仮定し,閾値をTaqMan法の3.5 log/mlと設定した所,予測値と実測値はほぼ一致することが分かった. 結論 HCVの増殖がGomp-Ex modelに従う,として計算したモデルは,結果的には従来のtwo-phase modelと同様のものであった.当試論の有用性は,治療開始後1週間の3点を計測することによって長期成績を予想できることである.3点から計算した理論上の最小値がGomp-Exの閾値(3.5 log/ml)を下回れば,ウイルスを根絶することができる.