有機ハイドライドを用いたオンサイト水素貯蔵・供給システム
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概要
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実用規模のスプレーパルス反応器と活性炭織布担持白金触媒を用いて,メチルシクロヘキサン脱水素による水素およびトルエン生成特性と,トルエン水素化によるメチルシクロヘキサン生成特性を評価し,有機ハイドライドを用いたオンサイト水素貯蔵・供給システムの可能性について検討した.メチルシクロヘキサン脱水素反応では触媒温度598 Kで最大転化率0.85と水素発生速度40.2 NL/(g·h)を示したが,副生ベンゼンが顕著であった.また,トルエン水素化反応では触媒温度523 Kで最大転化率0.56と水素貯蔵速度100.4 NL/(g·h)を示した.脱水素反応と水素化反応のアレニウスプロットより活性化エネルギーはそれぞれ108.9 kJ/mol, 13.3 kJ/molであった.さらに,約100 hの脱水素および水素化反応試験では水素発生速度,水素貯蔵速度および転化率は安定に推移し,本プロセスの長時間安定性が示された.本試験結果より有機ハイドライドを利用した10 Nm3/h規模の水素貯蔵・供給システムの水素貯蔵密度は4.06 mass%, 351.9 Nm3-H2/m3に達すると試算された.