急性虫垂炎を併発し, 急性尿細管壊死の組織像を呈した病原性大腸菌 (O157) による非典型的溶血性尿毒症症候群の1例
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概要
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急性蜂巣織炎性虫垂炎を併発し,急性尿細管壊死の組織像を呈した非典型的溶血性尿毒症症候群 (HUS) の1小児例を報告した。本症例では,先行する下痢・血便がなく,また破砕赤血球の出現・間接ビリルビンやGOTの上昇もなく,臨床的にはHUSの確定診断は困難であった。しかし,腎生検組織では糸球体係蹄壁の肥厚・メサンギウム細胞増殖などのHUSに合致する所見に加え,急性尿細管壊死像を認めた。血液ろ過,メシル酸ナファモスタツト,ヘパリン,ステロイドの治療を行った。その後腎不全は急速に軽快した。病原性大腸菌O157に対する抗体価の上昇を認め,病原性大腸菌O157によるHUSと診断した。本症例では術中・病理所見ともに明らかに虫垂炎の所見を呈し,急性虫垂炎を合併した非常にまれな症例であるが,病原性大腸菌O-157は,臨床症状が虫垂炎に酷似した細菌性回盲部炎の起炎菌の1つであることが知られ,本症例においても急性虫垂炎は一次的病変ではなく,病原性大腸菌O157感染による回盲部炎が波及した可能性がある。また病原性大腸菌O157感染による腎障害は病初期では尿細管障害が強く,急性尿細管壊死は本症における急性期の重篤な腎機能障害の組織病変を形成する病変であると考えられる。
著者
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